「由佳菜ちゃん!おはよー!!」



「美紀ちゃん、おはよ」




岩堀(いわほり)由佳菜(ゆかな)。高1。



高校に入学してからもうすぐ2ヶ月経つ。



高校に入って初めてできた友達の美紀(みき)ちゃんとは今もずっと仲良くしている。



いつもは一緒に登校するんだけど、今日は美紀ちゃんがちょっと寝坊して別々で教室に着いた。




「由佳菜ちゃん、相変わらずキレイな髪だよね~」



「そんなことないよ」




美紀ちゃんはいつも、私の腰まで伸びた黒髪を誉める。



……あんまり手入れしてないし、誉められるようなものでもないんだけど。



昔からよく、サラサラだねとは言われた。



それは遺伝だと思うけどね。




「羨ましい!
あ、ねぇ聞いて聞いて!」




美紀ちゃんは染めていない真っ黒なセミロングの髪を揺らし、



目をキラキラさせながら話しかけてくる。



美紀ちゃんはよく話を逸らす性格で、



話題はつきないけど、たまに傷かな。