そして、由里子の死体の間近にまでくると、桜の身体を抱えあげ、由里子の上へと放り投げた。


ドンッ……ーー


由里子と桜の身体がぶつかった鈍い音が響くが、人と人という事もあってか、音はさほど大きくはない。


だからか、哲夫と修二が音を聴いて部屋から出てくる気配も感じられない。


由里子の上に乗った桜の服には、由里子の吐いた血が付着し、それが浸透して徐々に真っ赤に彩られていく。


右手と右足がおかしな方向へ折れ曲がっているのも手伝ってか、守の目に映る桜はまさにホラー映画に出てくる死体そのものだ。


私は殺された。そう訴えかけてくる様なその姿に守はブルッと身体を震わせると、慌てて目を逸らした。


そして元の自分の部屋へと足早に歩を進める。


ジャラ…、ジャラ…と音をたてる守に繋がった鎖。


その音を振り払うかの様に首を横に2度振ると、部屋のドアの取っ手へと手をかけた。


と、その時、ふと桜が持ってきたであろうお茶の入ったペットボトルが目に飛び込んできた。