床には防水加工が施されていたようで、乾いた血でも簡単に拭き取られてしまった。


元々準備していないと、こうはならないだろう。


あたしはそれらを確認した後スマホを閉じた。


やっぱり、颯はあの女を殺している……。


あたしは深く息を吐き出し、両足を抱えた。


女の殺された顔が目に焼き付いてしまい、今あたしの目の前に女がいるような錯覚を覚える。


「そうだ……警察だ……」


あたしは呟く。


こういう場合は早く警察へ行った方がいい。


女が1人殺されているのだ、このカメラ映像がしっかりとした証拠にもなる。


頭では理解しているのに、体は少しも動かない。


警察へ行くということは、颯が殺人犯になって捕まってしまうということだ。


あたしはヨロヨロと立ち上がり、クローゼットの中のアルバムを取り出した。