「それって、家から通える学校や職場なら、なんでもいいってこと？」


「あぁ。そういうことかな」


ほほ笑んで答える颯に、あたしは唖然としてしまった。


颯はもっと自分の人生についてしっかりとした計画を立てているとばかり思っていた。


でも、違ったんだ。


「颯は、夢とかないの？」


「夢？　そうだなぁ……」


颯は難しそうな顔をして腕組みをする。


考えなきゃいけないってことは、即答できるほど強く思っている事が何もないと言う事だ。


「とりあえず、希彩が成人するまでは自分の事は考えらえない」


「なっ……！」


思わず言い返してしまいそうになり、あたしはグッと口を閉じた。


希彩ちゃんが成人するまでって、あと５年もあるよ！？


颯は来年の春に卒業するのに、一体どうするつもり！？


心の中で叫び声を上げる。