入学式から数日。
息がつまる日々だった。
自己紹介。対面式。オリエンテーション。
人と関われば関わるほどバレる確率が高まる。
それにどうやって人と接すればいいのかわからない。
学校行事なんて嫌いだ。
もちろん、同じ中学の人なんていない。
自己紹介も名前を言っただけ。
息がつまる。
そんなとき、私が向かうのは決まって屋上。
誰もいない。
一人になれる。
屋上に向かうところを誰にも見られないように周りに気をつけて、屋上につづく階段をのぼっていく。
一応、生徒の出入り禁止みたいだから。
屋上の扉には、『生徒の出入り禁止』という張り紙があるけど知らんぷりして扉を開ける。
開けたとたん、ふわっと風が髪をなびかせる。
その瞬間が、私を息苦しい世界から抜け出せた気にさせる。