颯が手伝ってくれたおかげで手際よく係りの仕事をこなす事ができたし、なにより颯はカッコよかった。


こんなにカッコいい男の子がずっとあたしに隣にいたら、どうしても意識してしまう。


そして打ち上げの時、あたしは勇気を出して颯と電話番号を交換したのだ。


そこからあたしたちの関係は徐々に縮まって行き、半年後に恋人同士になることが叶った。


恋人になってから聞いた話だと、颯はあたしと出会ったときクラスメートに気になる女の子がいたらしい。


その子の事が好きかも知れない。


恋心が生まれる寸前の所で、あたしと出会ったらしい。


あたしはその話を聞いて、心底ホッとしていた。


颯がもしその女の子を好きになっていて、告白していたら?


そう考えると胸が締め付けられた。


颯のようなカッコよくて優しい男の子に告白をされたら、誰だってOKしてしまうだろう。


そんな颯がどうしてあたしを選んでくれたのか。


それを聞くと、颯はあたしの頭を撫でてこういったんだ。


「小さくて、雰囲気が妹に似ているから」


あの時はその言葉になんの違和感も抱かなかったけれど、今は違う。


颯はあたしと希彩ちゃんを重ねて付き合っているのかもしれない。


抱きしめられている時も、キスをしている時も。


颯はあたしとではなくて、あたしを通して希彩ちゃんとしているのではないか?
そんな思が常にあった。