あたしも慌てて立ち上がる。


「あぁ。希彩が予定よりも早く帰ってきたみたいなんだ」


そう言う颯はすごく嬉しそうにしている。


「でも、今日は一緒に夕飯を食べる約束してたでしょ?」


「だから謝っただろ? 今家には誰もいないんだ。俺が帰って待っててやらないと」


「そんな……」


あたしは唖然として颯を見る。


希彩ちゃんだって家の鍵くらい持って出ているだろうし、留守番くらいできる年齢だ。


そう言いたかったけれど、あたしは自分の言葉をグッと飲み込んだ。


早足に玄関へと向かう颯を追いかけるようにして玄関へ向かう。


「夕飯はまた今度な。あ、どうせなら希彩も一緒でもいいよな?」


「ちょっと、待って……!」


あたしが引き止める間もなく、颯は玄関を出て行ってしまったのだった。