「成宮先輩と別れてあげてくれませんか?」


「はい?」


「私、成宮先輩が可哀想で見てられません」



この子……もしかして……。



「ねぇ?もしかして成宮のこと、好きなの?」



私がそう聞いた時、女の子は目を見開いた。


頬がだんだん赤く染まっていく。


あぁ、やっぱりね。


あのダサい成宮がこんな可愛い子に想われるなんてねぇ……。


成宮って案外、モテるのかなぁ?



「好きですよ。だから成宮先輩を解放してあげて下さい」


「成宮と付き合いたいんだ?」



女の子は小さくコクンと頷いた。


さっきまの強気な態度とは違って、今は恋する乙女のように弱々しくなっている。



「好きにしたら?」


「えっ?」


「私、別に成宮こと好きじゃないし。どっちかに好きな人が出来るまでの条件で付き合ってるだけだから」



本当は私に好きな人が出来から別れる条件だけど。



「話はそれだけ?じゃあ、私、帰るから」



私は彼女に背を向けた。



「本当にいいんですか?」


「いいよ。好きにして」



私は振り向いて、彼女にそう言うと、また彼女に背を向けて公園の出入口まで早足で歩いた。


胸が痛いほどドキドキしていた。


あずが送ってきた画像を思い出す。


もしかしたら、もう付き合ってるのかもしれない。


今日だって、成宮はあの子と会ってたんだし。


成宮には私みたいな女じゃなく、あの子のような純情そうな子が似合ってるのかもね。


でも成宮に確かめようと思ってたことがわかって良かった。