「……お前には、関係ない」


「っ、」


「関係ない奴が……興味本位で、踏み込んで来ようとするな」



けれど、そんな私の思いとは裏腹に、まるで刃のように振り降ろされた冷たい言葉。


その言葉は、深く深く私の心に突き刺さり、傷を付ける。


温度を無くした日下部くんの射るような冷たい視線と戸惑う私の視線が交差して。


言葉と並んで小さく震えていた拳に、私は自分の浅はかさを知った。



「偽物の彼氏彼女ってだけで、俺の中に踏み込んでくるなよ」



――――遠くで、危険を知らせる車のクラクションの音がした。


近付くことは難しいのに、どうして突き放されるのはいつだって、こんなに簡単なのだろう。