「そっか。それなら良かった。でも、もし疲れたりしたら言ってね?」


「うん、ありがとう……」



……結局、日下部くんと白坂さんと別れたあと、二人で花火を見ようと決めた私たちは、なるべく人混みの少ない場所を探して歩いた。


だけど当たり前に、そんなところは見つからず。


仕方なく、ベストポジションからほんの少し逸れた場所に二人で身を置いていた。


溢れる人混みから、さり気なく守ってくれる高橋くんは、やっぱり男の子で。


肩と肩のぶつかりそうな距離感に、つい高橋くんを意識してしまうのは、恋愛耐性のない私には仕方がないことだと思いたい。


だけど本当なら、ここまで密着していればもっとドキドキしていても、おかしくないのに。


何故か、凪いだ海のように冷静な頭の中では――――白坂さんと消えていった、日下部くんのことばかりを考えていた。