それは、不用意にも知ってしまった、“ 蜂谷 美月の秘密 ”。



「……っ!!」



――――気が付いたら、俺は走り出していた。


夜空を見上げる人たちの間を掻き分けて、真っ直ぐに。


背後で大きく花が咲く音だけが、痛いくらいに耳に響く。


だけど、今はそれさえもどこか遠く感じている自分がいた。


歓声に揺れる空気以上に痺れるように痛む胸、早鐘を打つように高鳴る心臓の音は、何よりも鮮明で。



“ 私……実は、その…… ”



――――本当に馬鹿なのは、俺だった。


走りだした足は真っ直ぐに、今にも泣きそうな顔で笑う、蜂谷の姿を探し続けた。