固まった私達に目もくれず、美樹はベッドへ寝るルイの傍に寄った。


そして、機器が剥き出しの膝を見て、溜息をつく。


「全く、ルイが目覚めたら説教だなぁこりゃ。おかげで酒にもありつけない。せっかくガキ共のお守りから解放されて京都の夜を満喫する筈だったのになぁ」


ボリボリと頭を掻いて、おもむろに持ってきたアタッシュケースを開く美樹。


その中には、様々な整備機材が所せましと詰めてある。


「美樹先生、貴方は一体……」


「んー?あぁ、俺、教師になるまで片岡博士のラボで助手やってたの。つまり、ルイ開発チームの一員。だから、ルイに緊急のことがあったら俺のとこにもコールが来るようになってるの」


簡潔に自分の素性を答えた美樹は、視線はルイに落としたまま、手際よくルイの整備に入る。


「そう言えば笑里は高校生になってからだもんな、博士と住み始めたの。俺がラボから出たのはその時期だから、知らんのも当たり前か」


美樹にしては長い長いその言葉に、私以外の三人はまだ着いていけていない。いや、正確には、私だって。