男3人、グッズ売り場に並んで待つこと2時間。


「やっと買えた―!」


欲しかったものを手に入れることができた。


俺はペンライト、タオル、うちわなど。
近藤もそれなりに……。


でも一番驚いたのは……高瀬が、茅那ちゃんのうちわを買っていたこと。


「高瀬~お前、茅那ちゃんのファンだったのか?」


グッズを同じくグッズのバックに入れながら近藤が問いかけた。
興味なさげに見えて、実は好きだったりするのか?
チラっと高瀬の顔を見ると、ヤツは表情を変えずに。


「別に。弟がファンだから、土産のつもりで買っただけ」


なんだよーー茅那ちゃんみたいに可愛い女の子でも、コイツは興味ねーのか?
弟くんのためね。
コイツ、歳の離れた弟がいるんだっけ。
無愛想に見えて意外と後輩たちの面倒見がいいんだよなあ。
弟のことも可愛がっているんだろう。
あ、そういえば……。


「BKN48じゃなくて、夏のBBQに連れて来た“茅那ちゃん”とはどうなってんの?」


夏に会った高瀬の友人だという女の子のことをふと思い出した。

俺たちが所属する剣道サークルのBBQ。
7月に海でやった時、高瀬が彼女を連れて来たんだった。
今は10月だから……もう3ヶ月以上前になるのか。


控えめで純粋そうな可愛い子。
名前が茅那ちゃんっていって……アイドルの工藤茅那と同じ名前だって騒いだな。
あの時、不思議と……高瀬は、彼女のそばを離れなかった。
なんか、参加してた女の子たちとひと悶着あったらしいから、茅那ちゃんを護る意味でも一緒に居たんだろうけど。

女嫌いだと学部内でも有名な男が友人だからって、そこまでするか?と、近藤と首を傾げたんだ。


あの彼女と進展はなかったのだろうか。


「アイツは友達だって言ったろ。それ以上も、それ以下もない」

「ふーん」


俺の質問に高瀬は本当に何でもない、というように答えたんだ。