「よかった」

ほっとしたような声をだした菜々花。

意外な反応をされて、俺はじっと菜々花を見つめた。

「わたしもね、前に絢斗くんと佐藤さんが話してるところを見て、ちょっと嫌だなって思っちゃったの。でも、もやもやしたりするのは絢斗くんもなんだなって。わたしだけじゃなくてよかった」

菜々花は恥ずかしそうに一度視線をそらして、再び俺を見た。

「だって、好きだからこういう気持ちになるんだよね?」

――ああ、もう、やばい。

頬を赤く染めて俺を見上げる菜々花が可愛くて。

思わず、菜々花を抱いている腕に力が入る。

いいや。

嫉妬したこととかもうどうでもいい。

そんなことよりも、こうして照れながら俺を見つめてくれる可愛い菜々花のことを考えていたい。

俺のそばにいる菜々花が一番可愛い。

そうであって欲しい。

つうか、そうさせる。

「もういいや。妬いたってどうしたって、俺はとにかく菜々花が好きだし、菜々花とこうしていられるのは俺なんだし」

再び抱く腕に力を入れたら、菜々花はふんわりと笑った。

「……わたしね、嫉妬したあとすぐ自己解決できるの」

照れながら微笑む菜々花は、俺の背中をとんとんっと軽く叩いた。

「絢斗くんはわたしを見つけたらすぐそばに来て、わたしのことだけ見てくれるから、わたしは他の子とは違う特別だって」