麻実に言われて鏡で確認すると、たしかに口元に朝食べたパンのくずがついていた。



「うわっ、ホントだ!

恥ずかしい〜///」


「もう、亜里沙はほんとに慌てんぼうだよね〜(笑)」


「えへへ…」



あぶないあぶない、麻実が教えてくれなかったらこのまま授業受けるとこだったよ。


ふぅ…。



と、その時だ。



ーーふわっ…



通りすがりの誰かから、ほのかにバターの香りがした。



あれ?これは……



ハッとして目の前を見ると、派手な男の子の集団が隣のクラスへ向かって歩いていく。


その中にひときわ目立つ、すごくキレイな男の子がいた。



「うわーっ、いたいた!

今日も眩しいね〜!琉衣(るい)くんは!」



彼は隣のクラスの宮川琉衣(みやかわ るい)くん。


うちの学年で一番カッコ良くて、モテるって噂の男の子。


女子はみんな彼を見ると騒いでる。


私は一度も話したことがないんだけど…