逆に申し訳ないと思う。

「敦瑠くん、もう大丈夫だよ。だから気にしないで」

わたしは小さく笑ってそう言った。

「そ、そっか……よかった」

敦瑠くんはほっとしたような顔をした。

「じゃあ、俺行くわ」

「どこに?」

「え……えーっと」

なんとなく訊いた沙耶の問いに、敦瑠くんはわたしと沙耶を交互に見て言葉をつまらせた。

やはりどうしても気にしてしまうらしい。

わたしが笑うのを確認してから敦瑠くんは言葉を発した。

「絢斗の片割れを迎えに」

「片割れ?」

沙耶が首をかしげる。

わたしもきょとん、とした。

「あー……あいつあんま自分のことぺらぺら喋らねぇし、絢斗と同じ中学のやつ少ないからこれまだあんまり知られてないんだよな。実は絢斗って双子なんだ」

「えっ、そうなの?」

沙耶が驚いた声をだした。
わたしも驚いていて、目をぱちぱちさせていた。

絢斗くんが双子だったなんて知らなかった。

最初の頃にメッセージのやりとりで家族の話を少しだけしたことがあったけれど、確か四人家族だということまでしか聞かなかった。