「み、ゆう……」



読み終わった俺はまた急いで走り出した。



「はぁ……っ、美憂……待ってろよ……っ」



手紙を握りしめ、無我夢中で走る。



美憂がこんな気持ちでいたなんて、知らなかった。
美憂が俺のことを好きでいてくれたなんて、知らなかった。



俺こそ、美憂のことなにもわかってなかった。



あぁ、俺って本当に彼氏失格だ。



美憂を自分の勝手な思い込みで手放すなんて。



「……!」



第一倉庫に向かいながら、俺は一つ思い出した。



第一倉庫は俺の住んでいる町の隣の町の不良グループの溜まり場だった。
矢野、星司……アイツは確か、その不良グループのリーダーだったヤツ……。
俺が中学の頃、グループのほぼ全員をボコボコにしたっけ。



名前を聞いたとき、なんか聞いたことある気はしていたけど、あまり気にはかけていなかった。



どこで聞いたんだろうって思ってたけど、まさか昔潰した不良グループのリーダーだったなんて……。



はやく行かなきゃ……美憂がなにされるかわからない。



美憂、どうか無事でいてくれ……!