~医局では~




佐藤先生のマンションから、佐藤先生が呼んだ救急車でかなを運ぶこととなった。




かなは意識を失い、そのまま病院で無事に処置をすることができた。





コーヒーを片手に持った進藤先生が、




「なんとか処置できたけど、彼女、以前入院していた時に戻っちゃったんじゃない?」




と佐藤先生に聞く。




「はい、そうです。




診察も治療も拒んだので、手首と足首にはバンドをつけていました。




さっきのように暴れて、部屋をめちゃくちゃにした時もありました。




このままだと、検査もできない気がします。





はぁ。僕がいけないんです。」




と佐藤先生が肩を落とす。




「佐藤先生、君のせいじゃないよ。




彼女はいろんなものからストレスがかかってた。




きっと、それらがたまりにたまって吐き出し、あんなことを言ってしまい、君に叩かれたことで、過去をフラッシュバックしてしまったんだ。





今こうならなくとも、いつかはまたなっていたことだと思う。




彼女は今まで、何か自分の中で感情を抑えながら、殻にこもって生活してきたんだと思う。




少なくとも、君と生活してきた二年間は、それもうまくコントロールできていたと思うよ。






むしろ、医者になってからこうなるよりも、学生のうちでよかった。




僕たちの目の前でこうなったから、まだよかったんじゃないかな?」




と佐藤先生を慰める進藤先生。





「ありがとうございます。そう言っていただけるだけで、気持ちが楽になります。」





「いや、これから大変だ。頑張ろうね。」




「はい。」