俺は、走るのを止めた。アイツは、頑固

だし、俺ら兄弟のためなら、死ねるよう

な極端な女だ。


こうでもしなければ、好きでもない野郎

と結婚してしまう。


「俺が、サポートするよ」とか言われた

に決まってる。クソ野郎!!


アイツの努力と根性を、金で解決しよう

とすんな、クソ野郎が!!


俺はもう二度と走らない、そう誓った。

悔しくて、思い出すと頭が割れそうにな

るのを必死で堪えた。


見たこともない、親父。アイツが全てを

捨てて愛した男。親父のようになりたい

という俺の野望は、ここで絶たれた。


走れば負けなしだった俺は、いつしか、

喧嘩では、負けなしに変わっていた。


今の高校も、そこそこ楽しい。元、駅伝

の名門校という、過去の栄光的なところ

が気に入って、ここを選んだ。


屋上の溜まり場でタバコを吹かす毎日。

走ってばかりいた以前の俺からは、想像

も出来ないような学校生活だ。


夢のない、空っぽの俺。仲間は、最高の

ヤツらだけど、なぜか、虚しい。


そんな時、俺はハチャメチャな女に出逢

った。


チビでヘナヘナで、アホのくせに、男の

喧嘩に乱入したり。


無防備で、無鉄砲な、どうしようもなく

変な女。


そして、どうしようもなく可愛い。


けど、ソイツは今日、俺の兄貴分の女に

なった。


★end☆