相変わらず激しい雨風が止むことなく窓に打ち付けていた。
 階段を上る明美のブーツがコツコツと響く音、雨風の音だけが静かな廊下に響いて、少し不気味な雰囲気を醸し出している。

「さっさとパンプキンパイを探して戻ろう」

 さすがに心細さを感じた明美。階段を上がる速度が早まったとき、

 ピカッ!

 階段の踊場にある大きな窓から入る白銀の光が目を刺し、その眩しさに目をつぶった。

 次の瞬間、

 バリバリバリッ

 ドーン!

「やッ…!」

 建物全体を揺らすほどの雷が襲った。その激しさに驚いた明美がその場に頭を覆うようにしてしゃがみ込む。

 こっ……こえー!!

 突然の出来事に心臓がバクバクいっている。

「あ、あれ?」

 立ち上がった明美は周りが真っ暗闇なことに気付く。
 右も左も、前も後も、上も下も、闇。
 闇、闇、闇。
 まるでどこか時空の狭間に迷い込んだような気分になった。
 暗い中で雨と風の音だけが、変わらずこの場にいる自分を忘れさせないでいてくれた。
 これじゃ動こうにも身動きが取れないじゃない!
 と、とにかく戻ろう。
 落ち着いて、落ち着いて……。
 手探りで壁を探す。

「あっ……うぎゃ!」

 壁を探しながらジワジワ足を進めていた明美の足が空を踏んだ。

「ぎゃー!」

 バランスを崩し、今まで上って来た階段を真っ逆さまに落ちた――。


「う、ン……」

 頭を押さえながらゆっくり目を開けた明美は、大きく驚く。

「なっなに!?」

 気が付くと、7人の同じ様な顔をしたヒゲのおじさんたちに囲まれていた。