―小笠原side―

刑事なんてラクじゃない。


事件の捜査は昼も夜もない。

休みだってあるようでないようなもんだし。

書類処理でデスクワークの日だってある。

せっかく捕まえた容疑者でも、取り調べで意味わかんねえことばっか言って腹立たしいことはザラだ。


「ほんと……ストレス半端ねーな」


俺の目の前には山積みの書類。

視界に入るだけで頭痛がやってくる。

ため息をつき、ちょっと休憩しようとポケットに入れていた煙草を取り出し、火をつけた。


時刻は午後7時。

今日も書類処理のため残業だ。

フロアには、俺と同じように残業中のヤツらが数人いる。



警察官になって数年が経ち、現在はいち所轄の刑事になった。

最近は新人刑事の教育や世話係とか任されるようになり、自分も年を取ったなと思う。

そろそろ付き合ってる彼女との結婚も視野に入れたいところだが。

危険を伴い、残業はザラで会えることも少ない現在……悩み中。


明後日は休みだし、ふたりでどっか行くか。


煙草片手にぼんやりとしていると。


「小笠原さん、灰が床に落ちますよ」


向かいのデスクにいる男が話しかけてきた。