「俺、もうあと10分で家出なきゃいけないんだけど?」



「ごめんごめん、忘れてた」



お弁当の存在なんてすっかり忘れてたよ……。



「もういい、今日は購買で買うし。つか、拓磨くん遅くね?」



「あぁ……拓磨くんは今日は来ないよ」



「なに、ケンカでもしたの?」



日向ってば、カンが良いんだから……。



「まぁ、そんな感じかな……。私がしつこく色々聞いちゃったせいなんだけどね」



「ふぅん、ま、姉貴ってデリカシーないもんなー」



うっ……そんなにストレートに言われるとなんだか心にグサッとくる……。



「でも、ちゃんと謝れば拓磨くんも許してくれるだろ。拓磨くんって心広いし」



「そうだといいけど……」



「じゃ、そろそろ俺は行くわ」



「いってらっしゃい」



日向を見送った私はため息を何度もつきながら朝ごはんの洗い物をした。