桜の口が答えを言おうとゆっくりと開かれていく。


それを見ているだけなのに、守の鼓動がドッドッドッドッとけたたましい音をたてる。


自分がどうにかなる訳ではない。


それでも、目の前でゲームの終わりと共にまた、人の死を目にしなければならないかもしれないという恐怖からきた緊張感からのもの。



このゲームで負けたなら、罪をバラされる……だけじゃねぇ。



「えっと、…じゃあ。……The answer is …………a flashlight(答えは、懐中電灯)」



震える声で紡がれたその答えに思わず守の目が見開かれる。と、共にゾッと背中に走る寒気に身を震わせた。


flashlightの意味が分からなくても分かる。この答えは間違いだと。


つまり、恩田桜はゲームに負けたのだ。



ブゥン……ーー



目を瞑り、両手を固く結んで祈る様にしていた桜が、その音で目を開け上へと顔を向ける。


そんな桜とは逆に、守も含めて残りの3人は床へと視線を落とした。


間違いだと分かっているからこそ、絶望する桜の顔を見ていられなかったのだ。


画面に映し出された文字は、また人を馬鹿にしたようなもので。


『間違い!回答者の負けww』


それを目にした桜は予想通り一気に顔を青くさせた。


「そ、そんな……」


今にも泣き出しそうな震えた声音が部屋に響き渡る。


そんな桜の呟きにフォローを入れる者などここには誰一人として居ない。