イヤでも浮かぶ、彼の顔。
なんてチャラ男。
あいつのことなんて、もう忘れたいのに。
渉……って言ったっけ……。
なのに、なんなの……このドキドキ……。
性格はどうあれ、それはやっぱりイケメン過ぎて、不覚にも胸がドキドキする。
思い出しドキドキって、どんだけイケメンなのよっ……。
目を閉じると、あたしに近づいて来た渉の顔が、リアルに思い出されて。
長い前髪が頬に触れて、鼻もかすかに触れてた。
「っ……」
やだやだっ!
いくらイケメンだからって、いいわけない。
つき合ってない人と、ファーストキスだなんて。
一之瀬乃愛、一生の不覚……。