ケータイ小説 野いちご

恋する時間を私に下さい

…絶叫してしまった。
慌てて口を押さえて……

「緒方さん、なんて…?」

恐る恐る聞き返した。
これが私のやったことなら、絶対に怒鳴られそうだと思ったから。

「レイさんね、最初呆れ返って笑ってたの。でも、『これ、食いたかった!』って言って、一番最初に食べてくれて。『いただきます』も『ご馳走さま』もちゃんと言ってくれたんだよ!? だから、もう嬉しくって…!」

ルナの話を呆然としたまま聞いてた。
これまで私の作った物に対して、彼がそんな態度をとっただろうか…と思い返しながら……



(…ないよね…)

そういう結論に辿り着いた。

確かに、丁寧に手を合わせてる姿は何度も見かけた。
お鍋の中にチョコを沢山詰め込んで、『ご馳走さん』と書いた紙を入れたのも、緒方さんだと思う。
でも、目の前で、『いただきます』や『ご馳走さま』なんて言ってるのは見たことないし、『美味しい』って言ってくれたことも『不味い』って言ってくれたこともない。

完全にノーリアクション。全くもって無反応。
一番最悪なパターン……

「私、ますますレイさんのファンになっちゃった〜!明日もまた行こ~!」
「…えっ!明日も!? 」

ーーボンヤリしてるうちに、ルナは勝手に決め込んでしまった。
仕事の邪魔になるんじゃないか…と思って、さっき聞いてみたのに…。


『別に。邪魔でもなんでもねぇけど…』

平然と答えられた。
それどころか、『楽しい時もある』って言ってた。

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