「…だってさ…得意だって言うから…どんなスゲぇラーメンが出てくんのかと思ってたけど…」

ククク…と笑いを噛みしめる。

「コレ…ただのカップ麺じゃん!…アッハッハッハ…!」

お腹抱えて笑う。
このところ可笑しいと思えることが無くてイライラし通しだったから、つい反動がきたんだ。


妹は恥ずかしそうに赤面してた。
半泣きになってるその子を見て、アラシ達が宥める。

「気にしなくていいよ」
「レイさんは口が悪いんだから」

ヒドいことばっか言ってやがる。
お前らだって一瞬唖然としてたじゃねぇか。


(…でも、まあ…悪いのはこいつらじゃねぇしな…)

笑うのを堪えて、カップ麺を手にした。
驚いたような顔をした三人が俺の方を眺める。

「…サンキュー。食いたかったんだ、このカップ麺の豚骨味!」

しかもこれ、濃厚トンコツ味…って、わざわざリクエスト通りのものだ。


「…お前らもありがたく頂けよ!」

散々迷ったんだろうな…と思いながら、手を合わせる。

あいつが作った物じゃないが、カップ麺を食うのは久しぶり。
それはそれで…手料理のありがたみが増すと言うものだ。


「いただきます」

きちんと挨拶までした。
俺にしては、すごく稀なことだった。

……特別なことをしたつもりはない。
でも、それは後々、大変な勘違いを生んだーーーー。