ケータイ小説 野いちご

妖の王子さま




白玖は、ズイッと体を蒼子に寄せる。
蒼子は驚き身体を後ろに傾ける。
白玖は身体を止めることなく近づいていき、蒼子は支えきれず畳に背を付けた。




「は、く・・・?」




白玖を見上げる形になった蒼子は、不安に瞳を揺らす。
白玖は感情の見えない瞳で蒼子を見下ろす。

蒼子の顔の横に両手をつき、まっすぐと見下ろす白玖。




「わからない。・・・自分が変なんだ、蒼子」

「え・・・?」

「蒼子が、浚われたって聞いて、心臓がうるさくて。こんな事、初めてだった・・・。ねぇ、これはどうして?」




真っ直ぐな瞳に射抜かれるように、蒼子は身動きが取れず。





「こんな気持ち・・・おれ知らない」

「白玖・・・」

「蒼子、どこにも行かないで。おれの見えるところにいて」




白玖の顔が近づき、蒼子の額にチュッと音を立て口をつけた。
蒼子の心臓は激しく音を立てた。







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