あれ?それは…私のでは?


って、惜しんでどうする!


ああ、良かった。こんな形で初体験なん

て悲し過ぎるもん。いつか大好きな人と

結ばれるんだから!


「よ、チチかじゃん」


出たな!金髪のヘンタイ男!


私を、側溝から採れたイモみたいに言い

やがって!ふーんだ!


それにチチかじゃない!いちかだもん!


『…どうも…いちかです』

「あははは、睨むなよチチか」


むっ!こんにゃろ今に見てろよ!いつか

膝カックンして、笑い者にしてやるんだ

から!!


「チチか、タバコは?」

『タバコ?吸ったこと…な…』


「ほら、やるよ」

『え?ああ…どうも』


金髪のヘンタイ男は、吸いかけのタバコ

を私の口元に差し出した。


吸ってみろってことかな?ほんとに初め

てなんだけど。


どんな味なんだろ?苦そうだな…いや、

絶対苦いよね?!


『…ん?!ゲホッ!ゲホッ!ゲエッ』

「おい、おい、マジか?」


ふえ…え…味がどうのとかじゃなくて、

ただの煙りだ。ああ、気持ち悪い。


こんなの吸ってたら、病気になるの当た

り前だよ。


『ゲェェ、オエッ、オエッ』

「チチかオマエ、一服しに来たんじゃね

えのかよ?」


『一服?って?』


琉聖くんは、私と金髪のやり取りを見て

笑っていた。不良のくせに、なんて温和

な笑顔なんだろ。