―――ドンッ!
「…うおぉっ!」
その時、前から来た金髪の男の人とすれ違って。
瞬間、あたしの腕を掴んでいた彼がつんのめってひっくり返った。
どうやら、肩と肩が思いっきりぶつかった様子。
「なんだよてめえっ!」
倒れ込んだまま、ぶつかった相手にわめき散らす彼。
金髪の男は聞こえていないのか、振り向きもせずにそのまま立ち去る。
……あ。
この拍子で腕が離されていた。
え?
これって今、逃げるチャンス!?
「おい待てコラァッ!!」
彼が文句を言っている隙に、あたしはちょうど真横にあった女子トイレに駆け込んだ。