ケータイ小説 野いちご

妖の王子さま




「では、夜この場所にお迎えにあがります」

「うん。ありがとう、多々良。送ってくれて」

「いえ。白玖さまの命なので」




人間界の、初めて白玖たちと出会ったあの丘に多々良が送ってくれた。
蒼子は多々良の言葉に微笑んで手を振った。



人間界に戻ってきた。
たった一日だけだけれど。





「まさか、白玖さまが許可なさるとは思いませんでした」



人間界まで送る途中、多々良がそう言っていたことを思いだした。
最初は頑なだった白玖。
でも結局は許してくれた。


以前の白玖なら考えられないことらしい。




妖の世界で1月ほど過ごしてしまった。
人間界でも同じように時が流れているため、その間蒼子は行方不明になっていたことになる。

学校に戻ったところで、どうせ夜には向こうに戻らなくてはいけない。
説明することも億劫だったので、蒼子はそのまま目的の場所に向かった。






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