お店から再び車を走らせて、30分が経ったころ、真っ暗で何もないところに止まった。





幸治さんが車を降りるので、慌てて後を追った。





外は程よい風が吹いていた。






ザザーーーー





波の音がする。






誰もいない海岸に来たようだ。






私は幸治さんの後を追った。






コンクリートの階段を降りると、砂浜が広がっている。
 




どんどん歩いて行くと、そこには街頭が一本立っていた。





その明かりから離れたところで、突然幸治さんが仰向けに寝転んだ。




えっ?




どうしたの?





と幸治さんを見ていると、





「ほらっ、来いよ。」





と腕を伸ばし、私に寝転ぶように言う。







私が躊躇していると、





「きゃっ」





腕を引っ張られ、幸治さんの胸に転ぶように崩れた。





「いいから。」






といい、私の髪が砂で汚れないように、幸治さんの腕で腕枕をするように私の頭をそこに置いた。





私は胸が高鳴り、ドキドキとした音が幸治さんに聞こえちゃうんじゃないかと思うと、気が気ではなかった。




そして、上をゆっくり見上げた。





そこには、辺り一面に綺麗な星空が広がった。





「うわあ!綺麗!」





私は、こんなにも綺麗な空を見たのは始めてだった。






「だろ?自分の住む街で、こんなにも綺麗な星空があるなんて思わないだろ?」





と言う。





私は綺麗な星空に見とれていた。





今まで大学で勉強に追われていたおかげで、心の中ははじけてしまいそうなくらい不安でいっぱいだったけど、そんな気持ちは一瞬で吹き飛んでいた。





少しの間、星に見とれ、私たちは黙った。



       
すると、幸治さんが、







「なぁ、前にかなが言ってくれたろ?






俺のこと、好きだって。」






と、突然、私が幸治さんに告白したときのことを話してきた。




「あの時、曖昧な態度を取ったけど、あれから考えてたんだ。




俺達の関係は、果たしていいのか。




患者と主治医でもあり、過去には義理の兄と妹でもあった。





そんな関係、世間が認めるのかどうかって。






でも、




俺は、、、





俺は、お前を妹としてじゃなくて、一人の女として見てる。






世間がどう言っても、俺の気持ちは変わらない。






お前が好きだ。」







と、星空をみたまま言う幸治さん。






やっと、やっと、言ってくれた。






少し気付いてたけど、その言葉を聞くまでは、不安でならなかった。





でも、ホッとした。





と同時に、涙がどんどん流れ出た。






そんな私の顔を見て、幸治さんが、私の頬に伝う涙を、手で拭ってくれた。





「だけど、まだかなは大学で精一杯だ。





俺は、しばらく待つから。






かなに余裕ができてきたら、俺は、親父たちに話す」




  


と私の目を見つめたまま言う。




私は嬉しいし、恥ずかしいし。






幸治さんから顔を背けたかったけど、私の顔を両手で挟み、私の額に幸治さんの額を重ねた。





そして、優しく、私の唇に幸治さんの唇を重ねた。