「ご、ごめんっ! 気が付いたらいたから、ビックリしちゃって!」
えへへっと愛想笑いでゴマかして、椅子に座り直した。
「気が付いたらって……俺って、花梨ちゃんの中でかなり存在感がないんだな」
「えっ!? そんなことないよ〜! わたしがボーッとしてるだけだし」
キヨ君がなんだか悲しげな顔をするから、わたしは慌てて否定した。
「ボーッと、ね」
「う、うん……」
意味ありげにキヨ君がそう言ったけど、なぜかわたしは訊き返すことが出来なかった。
「それより花梨ちゃん、さっき妙に意気込んでなかった?」
「え? バ、バレた……? 実は……高野くんに告白しようと思って」
キヨ君には素直に言うことが出来た。
それはやっぱり、この前キヨ君がわたしに本音を打ち明けてくれたから。
わたしも正直にキヨ君に言いたかった。
『応援は出来ない』って前に言われちゃったけどね。
でも、それでもいいんだ。
キヨ君に応援してもらおうとか、協力してもらおうだなんて思ってない。