「は、白玖さま・・・」



青ざめた顔の多々良がその様子を見ていた。
多々良にはしっかりと、目を開いた白玖の姿が映されていた。





「え・・・?は、白玖・・・・?」



多々良の声に、なにが起きたのか理解できていない蒼子が顔を上げる。
蒼子の視線と、白玖の視線が絡まった。




「あ・・・っ」





鋭く、ぎらつかせた瞳に射抜かれ、ゾクリと背筋を震わせる。
逃れようと身じろぐ体を、白玖は蒼子の腕を掴んだその左手一本で繋ぎとめる。
じんわりと、蒼子の身体を濡らす血を、白玖の視線が追う。




「ウソ、ついたの?」



鋭く刺す視線。
低く、怒ったような声色。

蒼子は、答えることができずにいた。




「白玖さま!申し訳ございません!これは・・・っ!」




多々良が、声を上げる。
しかし、白玖は多々良の声を聞こうとせず、ただじっと蒼子を見ていた。