ケータイ小説 野いちご

妖の王子さま




気だるげな体を引きずるようにして再び廊下にでた白玖はぼんやりと空を見上げた。



青く澄んだ空が何とも不釣り合いで。
さほど興味なく視線を庭に落とすと、どこからか迷い込んだ子ぎつねが庭を走っていた。




「おいで」




廊下から一段庭に降り手を伸ばすと、その子ぎつねは少し警戒を見せた後ゆっくりと白玖に近づきその手をクンクンと匂った。


白玖の手に甘えるように頭をこすり付けてくる。




「あそこから、迷い込んできたのか?ここにいたらだめだよ。早くおかえり」




そう告げて立ち上がると、白玖は名残惜しさも見せず廊下に戻り歩き出す。





「・・・まだ、迷い込んだものがいるみたい」





そう呟くと、表情を変えず歩きを進めた。







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