あの子を助けられたことはよかったと思っていた。 ただ、人に知られることは避けたかったのだ。 「でも、もう会うことはないし・・・」 例え、誰かに話したとしても信じる人なんていないだろう。 たかだか、多々良という男が変に思われるだけだ。 だから、気にしても仕方がない。 忘れよう。 忘れてまた、ひっそりと暮らそう。 目立たないように。 気づかれないように。 ひっそりと息をしよう。