「茉弘。もうすぐに出られますか?」
「あ、う、うん!」
「じゃあ、行きますよ。」
恭がバイクの鍵を手にする。
昨夜帰りに送ってもらった時に見たキーホルダー。
間違いない。
「?どうしました?」
「……また恭のバイク乗るの?」
「そうですけど?」
恭は、首を傾げる。
「もう恭の後ろは乗らないって言った……。」
「え、えぇ~?」
「やだ。絶対にやだ。」
「そんなに嫌ですか……。」
「やだ。」
恭は、弱った顔をする。
ワガママなのは、分かる。
でも、昨日みたいなスピードは絶対無理!
「昨日のは、茉弘に少しでも寝てもらいたくて、かなり急いだんです。
普通に送り届ける時に、あんなにスピード出したりしませんから。ね?」
恭があたしの顔を覗き込む。