「………」


……っていうか、何で十夜さんはそんなにキレてらっしゃるのでしょうか。



いつもの定位置に鎮座している総長様は何故か超不機嫌で。



「眠てぇなら早く寝ろ」


「……はい」



座席に腰を下ろすや否やそう言われ、プルプルチワワになりながら返事をする凛音ちゃん。



『女は寝るまでする事がいっぱいあるの!!』



そう言えるものなら言ってやりたい。


けど、そんな事言おうモンなら絶対言い返されるのが目に見えてるから、お口チャック。



「凛音」

「うん?」



助手席から声がして、おもむろに振り向く。


すると。



「昨日はどーも」

「ひっ……!」


そこにはニヒルな笑みを浮かべている煌がいて。

直ぐ様助手席から身体を遠ざけた。



忘れてた。忘れてたよ!

あたし、昨日煌に頭突きかまして逃げたんだった!



「……テッメェ、よくも頭突きかましやがったな!」



こっわっ!


ガン付けにくる煌に圧倒されて、座席にヒシッと縋り付く。



っていうか、あたし悪くないし!

余計な事した煌が悪いんでしょ!



「オイ、あんな事って何だよ」


「ん?」



不意にそう問い掛けられて振り向けば、さっきよりもパワーアップした大魔王があたしを睨んでいて。



な、何で!?不機嫌になるような事何も言ってないのに!



増えた敵に更に身体を縮こませるあたし。