「あたしそろそろバイトの時間だから先行くね!」

「あっ、ああ……うん。頑張って!」



まおみは高校に入ってコンビ二でバイトを始めた。初めてもう半年以上経ったけど、どうやら続いてるらしい。


指定かばんを肩から下げて、紺のプリーツスカートについていたポテトの塩を払い落としながら駆け出した。



「おう! 艶子こそ、頑張るんだよ! じゃねっ」



ほんのり巻いた長い髪を揺らしながら、まおみは店を出ていった。


ったく、何を頑張れっていうのよ。


跳ねるように掛けてゆく彼女の後ろ姿を見つめながら、すでにぬるくなってただ甘いだけの飲み物を、最後の一口まで飲み干した。