私の中で、鬼羅の存在が大きくなっていく。
なんで、こんなにも鬼羅の事が気になるんだろう。
口が悪くて、他の女の子の事をずっと思っている人なのに。
人間でも、ないのに。
「来る」
突然鬼羅が立ち上がる。
険しい顔をして私の側まで来ると、私の腕を掴んだ。
「え、なに?」
「時光が軍を連れここに来る」
「え!?」
時光って、嘘。
なんでわかるの?
半信半疑で耳を澄ましていると、次第にぞろぞろとした足音が聞こえてきた。
私は鬼羅を見上げる。
「大丈夫だ、お前は俺が守る」
そう言われた瞬間、私の胸は高らかと鳴った。