「そう言えば、伊織に言おうと思ってたことがあるんだけど…」
「なんですか…?」
「その、よそよそしい敬語…禁止な。俺ら同学年なんだし、なんか不自然。」
言われてみれば…そうか。
今まで男の子と会話すること自体…少なかったから、あまり気にしたこともなかった。
先輩と話してる…とかじゃないんだし、確かに違和感あるよね…。
「…分かった、普通に話すね…。でも、この先…もう瀬ノ内君と話す機会なんて殆ど無いと思うけど…。」
「そんなの、分からないだろ?話す機会は、いくらでも作ることが出来るわけだし。俺、伊織と…もっと話してみたいと思ってるから。」
「………。」
今の、冗談か何か?
私と話したい…だなんて、嘘でしょ?
中学の時、男の子に“話し掛けにくい”“話したくない”って言われてきたんですけど。
不可解な発言に戸惑っていると、私たちの前に並んでいる女子3人組が、急にこちらに振り向いた。