「もう最悪!麻也くんってば!」
ある日の午後。
学校の女子更衣室を覗いている男友達に、あたしはそう言った。
彼の名前は、杉吉麻也(あさや)くん。
高校二年生のテニス部所属。
あたしとは小学生の時からの付き合いで、今もっとも仲が良い友達だ。
あたしがそう言って麻也くんを睨むと、麻也くんは特に反省の色ナシで言った。
「だって…そこに隙間があったんだもん」
「あったってダメなの!」
「何で?女子更衣室覗くくらい別に良っ、」
「ダメったらダーメ!」
そしてあたしがそう言うと、麻也くんは「…ケチ」と呟いた。
彼は、昔からそうだった。
昔から外見だけは良いしそこそこモテそうなのに、中身が“女好きすぎる”せいで女子達からは悪い意味で注目の的となっている。
黙っていれば、その変なとこさえなければ今頃はすごくモテていただろうに、そんな麻也くんの友達をしてあげられているのは、女子達の中では確実にあたししかいない。
「…もう、ちょっと目を離すとこんなことしてるんだから」
「ごめんちょ」