「でもさ、それだって根拠のない由依の理論じゃん。瀬ノ内君は違うかもしれないよ?」


「仮にそうだとしても、恋にはならないよ。だって、私自身…男の子と付き合うとか、あまり興味がないし…。」


恋をする自分なんて、想像つかない。


眉をしかめると、恵理子は私の肩にポンと手をのせた。


「それなら心配無用っ!興味がなくたって、ある日突然…恋に落ちちゃうんだからさ。」


いや、別に心配してるわけじゃないんだけどな。


少しズレてる恵理子の言葉に、顔を引きつらせてしまった。


「いいなぁ…。そういう素敵な形で始まる恋、憧れちゃう…!」


「始まらないし、特に始めたいとも思ってないんだけど……」


「あっ、もう授業が始まるっ…!じゃあね!」


教室の時計を見た恵理子は、慌ただしく自分の席へと戻っていった。


最後の私の主張、多分…聞いてなかったな。


そこんとこが重要なのに。