同日 午後17時前



「それにしても良かったなあ。ケイちゃんが元気になって!」

「……そうだな」


嬉しそうに笑う鈴と、無表情の黒斗。

2人は今、友人である竹長 恵太郎(たけなが けいたろう)の自宅へと向かっていた。



恵太郎と鈴は中学時代からの付き合いであり、黒斗とも認識がある青年。

しかし彼は小遣い稼ぎの為に三度のおやじ狩りを行い、死神である黒斗に断罪として、右足を無惨に切り取られた。

死神に襲われたショックのあまり、しばらく家に引きこもり、鈴達とも距離を取っていたが立ち直ってきたらしく、今日の誕生日パーティーに黒斗と鈴を招待したのだ。



「高校生にもなって……それも男が誕生パーティーかよ……」

やれやれ、といった様子でボヤく黒斗。


「まあ、ケイちゃんって親御さんに可愛がられとるからな! ええんちゃう? 微笑ましくて!」

「微笑ましい以前に溺愛しすぎだと思うが」


さんざん甘やかされ、好きなようにさせられてきた結果がおやじ狩りなのだから笑えない。

が、残念なことに恵太郎がおやじ狩りをしてきたことを知っているのは黒斗だけであり、鈴も彼の両親も、恵太郎への認識は“死神に襲われた可愛そうな子”であり、お咎(とが)めが無いのだ。