段々、この男のペースに巻き込まれている気がする。

それに…、さっきまで復讐しようとしていた相手。



あっという間に、その空気を壊している。


まるで何事もなかったように。




「孤独なんてねぇんだ。誰にも。

ただその時、出会いがなかっただけで、ずっと孤独なんてありえねぇんだから」



「綺麗事だね」


「だろ?」

「ごめん」

「はぁ?」


「一応謝ったからね。じゃあ」

「おー」




アイツ1人、公園に残して、俺はその場を立ち去った。


手に握られた缶は、ぐしゃっと歪んでいた。



―末恐ろしい男だな、アイツは…。