私が、鬼羅に振り向いてもらおうと手を伸ばすと、それを払いのけようとした鬼羅が手をさっと横に引く。
鬼羅が持っていた刀が私の肩あたりを切り裂いた。
「千菜ちゃん!」
私を追って小屋に入ってきた琉鬼くんがその場面を見て声を上げる。
鬼羅は、そんなつもりはなかったんだろう、動揺した顔をしていた。
刀は掠めるように私の肩を切り裂いた。
肩のあたりが血で赤く染まっていく。
ズキズキとした痛みと、どうしようもない悲しさが遅いポロポロと涙がこぼれた。
「千菜ちゃん、大丈夫?今手当・・・」
「・・・いい」
私はそう告げると小屋を飛び出した。
肩を押さえ、ただひたすらに走る。
もう嫌だ。
こんなところ、いたくない。
私の事を誰も見てくれないこんな場所。
私は誰?
私は、千代さんじゃない。
それでも、鬼羅は私の事を千代さんの代わり位にしか見てくれない。
あの時光って人だって・・・!
求めているのは、私なんかじゃない。