「りっちゃんおかえりー」

「おかえりー」



笑顔で出迎えてくれたのは、先に帰ってきていた陽と彼方。



「ただいまー!」



ソファーへと腰を下ろし、各自会話を始める。



会話をしながらも頭の中はいつ言おうか、それっばかり考えていて、不安と緊張で今にも押し潰されそうだった。



どうしよう。手の震えが止まらない。




でも、言うしかないんだ。


離れると決めたのは自分なんだから。



ちょうど今皆揃ってるし、言うなら今しかない。




………よし、言おう。




目を閉じて、皆に聞こえないようフゥと小さく深呼吸をする。


そして、意を決して口を開いた。



その時。



「わり、俺だ」



運悪く煌の着信に阻まれてしまった。


仕方なく口を噤んで電話が終わるのを待つ。




「チッ。分かった。ちょっと待て。……十夜」



一言二言話した煌がスマホを十夜に手渡した。


スマホを受け取った十夜はソファーから立ち上がり、寝室へと歩いていく。



そんな十夜を見て思った。


きっとあたしには聞かせたくない内容なんだと。