──五限目、地理。



……の筈が、先生出張の為自習。



「やった―!」とクラスメート五、六人で屋上へ行き、堂々とサボり。


まさかの妃奈も着いてきて、一年校舎の屋上で真夏なのに皆で日向ぼっこ。




ちょうどゴロンと寝転がった時に鳴った着信音。




メールを開くと、【サボってんじゃねぇよ!】の一文が。



「あっ、隣の校舎に十夜と煌がいるぜ!」



二年の校舎を指差す陽に振り向けば、確かに煌達三人が屋上に居た。



フェンスに凭れながらこっちに手を振っている煌と、同じくフェンスに凭れて煙草を吸っている十夜。


壱さんはと言えば、座って小さく手を振っていた。



……っていうか、十夜さん、隣の校舎から丸見えなんですけど、それ、ヤバくないんですか?



先生にバレているだろう煙草問題に突っ込みを入れて五限目の自習は終了。







──六限目、英語。



まさかの抜き打ち小テストにあたしと陽は大慌て。


答え合わせは隣の人と交換という訳で、あたしは妃奈に、妃奈はあたしに。


陽は隣の子が休んでいたからあたしが答え合わせをしてあげた。


50問中正解はたったの5問。


可哀想だから5問の正解に花マルをつけてあげた。


「やった!花マル!」と喜ぶプリティー陽きゅんに激萌え。



可愛いすぎる。










何事もなく過ぎていく穏やかな一日。



“こんな日がずっと続けばいいのに”


そう思ったけど、あたしには“ずっと”なんて無い。



だけどもう少しだけ。


もう少しでいいからこの幸せを噛み締めたい。



──皆とのお別れは、もう直ぐそこまで近付いてきてる。