1人で学校に向かう黒斗。



「……オラ、出せ!」

ドスを効かせた怒鳴り声が耳に届き、黒斗は足を止めて、声の出所を探す。


「泣いてないで早くしろよ!」


人気の無い路地裏から声が聞こえ、その場所へと歩いていく。





「早く金を出せっつってんだろ!!」

「ひ、ひいい……」

狭い路地裏で、5人の大柄でガラの悪い男が1人の少年を取り囲んでいた。

猫っ毛の銀髪の少年は恐怖のあまり、腰を抜かして地面に尻餅をついている。

「お前がボケッと歩いて、俺のダチにぶつかったせいで腕の骨が折れちまったんだぞ!! 治療費と慰謝料よこせや!!」

「で、でも……」



瞳に涙を溜めて狼狽(うろた)える少年の胸ぐらをスキンヘッドが乱暴に掴む。