それに首を傾げながら、




「別に好きじゃないし。
そしたら、あたしは楓くんの方がずっとずっと大好きだし」





と、言ったらベットの方で何かが落ちる音がした。




「だとよ楓。よかったじゃねぇか」




ケタケタ笑う櫂くんは美人な彼女持ちの大学二年生。

あたしと楓くんは高校二年生だ。




櫂くんの視線を辿って楓くんを見れば、ベットからずり落ちている楓くんがいた。




「楓くん、大丈夫?」





櫂くんから離れて、落ちている楓くんに近寄れば、



「見んな」


「…??」




片手で顔を隠された。




…落ちたことがそんなに恥ずかしいのかな?




「まぁ、俺はバイトだからそろそろ行くわ」


「うん。じぁね櫂くん」





おぅ。と、手を振って出て行った櫂くん。



何しに来たんだろ?

結局、要件という要件を言わないで出て行った櫂くん。





「…あ!
もうこんな時間だ!」





じぁ、あたしも帰るね。と、楓くんに手を振って荻原家から出て、隣にある自分の家に入る。













「…あのバカ」






楓くんが頬を真っ赤に染め上げて、悔しそうにつぶやいてたなんて知る由も無い。