「ん?いや、なんでもねぇよ」



その言葉にコクンと頷いて、後ろにいる楓くんを見れば、怖い顔をして櫂くんを睨んでいた。




「楓くん不機嫌なの?」


「さぁ?」




櫂くんと内緒話でもするような距離で話していると、チッと舌打ちが聞こえてきた。




「ところで、渚は何か話があったんじゃねぇの?」



「…あ!」




櫂くんの言葉に忘れていたことを思い出した。




「あのね!
今日、隣のクラスの男子に告白されたんだ!」




告白されたことが嬉しくて、エヘヘ。と、照れながら言えば、




「おぉー!やるじゃねぇか」




櫂くんは顔をくしゃっとさせて、あたしの頭を撫でてきた。




「んで、返事は決まってんのか?」


「うん!断る!」


「…は?
断んのか?」


「うん。だって知らない人だし、楓くんも断れって」





ね?と、楓くんを見れば、いつの間にかベットの上で参考書を読んでいた。





「いやいや、渚」


「なぁに?」


「楓の意見なんて気にしなくていいんだぞ」





自分の気持ちに素直になれ。と、言った櫂くん。